住吉区のママ鍼灸師 えみすけのブログ

住吉区のママ鍼灸師 えみすけのブログ

大阪市住吉区で鍼灸治療をしている、鍼灸師えみすけ(長崎絵美)のブログです。

別れを経験して、わたしたちは優しくなる

人が体調をくずすとき、そこには様々な理由があります。

 

ただ単に、

 

骨や関節に異常があるから。

血液検査の結果がおかしいから。

筋肉に炎症が起きているから。

 

という観点からだけではなく、

何故その人が不調に陥ったのか?ということを

施術者であるわたしも、そして患者さん本人にも、気づいてほしい。

 

 

気づきは、対処方法を生み出します。

知性をもつ「ヒト」ができるのは、

原因や現状を分析し、適切な対処をすること。

 

なーんか、しんどいんだよな。

どうしてこんなに苦しいんだろう。

 

という方は、その原因や理由がなんなのか

一度きちんと自分に向き合ってみることを強くおすすめします。

 

 

ところで、体調をくずす理由には様々なものがあると書きましたが

東洋医学では、その原因の一つを「気の不調」としています。

 

「気」とは、目に見えない流れのこと。

人間でいえば、感情も「気」のひとつです。

 

感情の乱れは、人の心身にものすごく影響を及ぼします。

自分の気持ちに対するコントロール方法を知っておくだけでも

少しらくになることもあります。

 

きょうは、「対象喪失」という特定の感情のことについて

書いてみたいと思います。

 

 

対象喪失」とは?

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対象喪失とは、精神医学の言葉で、

愛する人やモノ(対象)を失った後の心理のことです。

 

この「対象」には、わかりやすく言えば

恋人や配偶者、ペットなどが思い浮かびますが

 

住み慣れた環境から引っ越したり

社会的地位を失ったりする環境の変化、

自分の誇りや理想、大切にしている所有物を失うことまでが含まれます。

 

この対象喪失が起こると、人はどんな気持ちになるのでしょうか。

 

イメージしやすくするために、ここでは

話を「失恋」に限定します。

(失恋は、わりと誰でも経験したことのある身近な対象喪失ですよね)

 

 

東京都立立川短期大学心理学ゼミでは、

首都圏の6つの大学生521人に、失恋の経験を訪ねる質問紙調査を行いました。

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失恋を経験した男女は、様々な気持ちや行動を経験します。

 

 

・悲しみ

・執着(もう会えない相手を思い出す)

・回想と再生(交際中の記憶で、相手を再生して悲しみを和らげる)

・否認(いつかは相手が戻ってきてくれると信じる)

・躁的防衛(不自然なほどに明るくなる)

・理想化(相手はとても素晴らしい人だったと思う)

・恨みや報復(相手はとんでもない奴だったと思う)

・後悔(あんなことをしなければよかったと思う)

・逃避(体調が悪くなることによる【疾病への逃避】、急に仕事に没頭したりする【現実への逃避】など)

 

 

これらの気持ちや行動は、

その恋愛を主体的に終わらせたかどうかによっても変わってきます。

つまり、「振った人」「振られた人」の心理の違いです。

三者にむりやり恋を引き裂かれたケースでは、

特に強く相手への思慕の念がみられます。

 

 

対象喪失を経験した人には「喪の仕事」が必要である

鍼灸施術を行う際、たいていは、

患者様とお話をしながら施術することが多いです。

 

そんな中、患者様の中には、

失恋だけに限らず対象喪失が起こり、

深く傷ついたり、悩んでいる方も多々見受けられます。

 

わたしたちは、対象喪失を起こしている方に

どう寄り添うべきなのでしょうか。

 

 

対象喪失を受け入れる様々な心の段階を

「喪の仕事(モーニングワーク)」とよびます。

 

 

まずひとつ大切なのは、

こうした悲嘆を体験したとき、その事態から逃げないで

一度しっかりと受け止めること。

悲しみの体験は、人間としての成長に必要である、という考えからです。

 

とても、苦しいことだと思います。

どのぐらいの期間、悩めばいいのか、それは本人にしかわかりません。

(なんやったらご本人にもわからないと思います)

 

でもその、哀しみとしっかり向き合って苦しむ期間があればこそ

徐々に喪失の事実を受けとめ

しだいに違う感情も受け入れられるようになっていくのです。

 

この苦しみの期間は、どうしようもないことなんですね。

 

なので、もし患者様や身近な人が、この悲しみの真っ只中にいるのなら

寄り添う姿勢としては、もうほんとに、お話を聞くしかありません。

 

「こうしたらいいんじゃないですか?」なんてアドバイスも不要です。

ただ、その人が望むとおりに、お話を聞く。

あとは勝手に、その人が心の決着をつけるのだと思います。

 

 

喪の仕事は、大きく分けると3段階に分かれます。

 

①対象を失った事実を、事実としていったん受け止める段階

②喪失によって起こる悲しみや苦しみの感情を受け入れられるようになる段階

③対象を喪失した生活の中で、新しい希望を抱くようになる段階

 

もし、喪の仕事が不充分なまま

(つまり、喪失の事実を否認したり、悲しみから逃避したまま自暴自棄になったり)

生活を送っていると

 

後々、ひどい悲嘆におそわれたり

人に対する感情が鈍くなることがあるようです。

 

これは、たとえば

震災などの大災害などで近親者を失ってしまった人にもみられる現象で

 

喪失直後は、感情を失って一切の哀しみを感じなかった人が

数年後に強い悲嘆が表れることによって苦しむ…という

「遷延化された悲嘆」とよばれるものだそうです。

 

 

悲しみに直面する人は、

とても苦しい作業をしていることになります。

 

周りができることは、それを邪魔せず、

無理に次の段階へと推し進めず、

ただ静かに見守ることだけ。

 

そうして、苦しみや悲しみときちんと向き合えた人こそが

次の「受容」という段階にすすみ

いつかくる心の平穏に近づくのだと思います。

 

 

人の気持ちを理解すること

鍼灸師、という職業はとても素晴らしいものだと思っています。

 

ただ人の身体に鍼やお灸という道具を用いて施術するだけではなく

人の「気持ち」というところにもフォーカスして

心身の状態を探るからです。

 

いろいろな施術家がいるとは思いますが

わたし個人としては「共感」を大事にしていきたいんです。

 

 

【自分が実際に体験したことでなければ真に共感・理解することは難しい】

そういわれてしまえば、そのとおりかもしれません。

 

それでも、

「あなたを理解したい」という想いは否定されるべきではないと思います。

 

 

相手と、まったく同じ環境で同じ体験をすることは不可能です。

でも、自分の中で近い体験をさがして、

この時のこの感情に近いかも…と気持ちを推し量ったり

あるいは別の人の体験から、同じような人もいるって安心しようとしたりすることはできる。

 

 

そう考えると、施術家として深みを出すためには

自分の心を柔軟にしておくこと、色々なことを感じ取ること、

人の気持ちを理解できる素地を持つことなどが大切だなあと感じます。

 

 

どんなに人間性が最悪でも、治療の腕さえよければいいんだ!

という考えの患者様はいらっしゃるでしょうし

調子悪いところを治してさえくれれば、多少性格が悪くても通うよw

という意見も聞いたことがあります。

 

 

わたしは、人として好きだなあと思う人に診てもらいたい。

 

 

自分のことをわかってもらえた瞬間って、とっても嬉しいから。

 

 

昨日のブログでも書いたんですけど

「味方」っていう概念。

 

味方って、

あなたがどんな境遇に置かれても、あなたのチカラになるよって伝える仲間

のことだと思ってます。

 

誰だって、味方は多い方がいい。

 

だれも自分のことをわかってくれない

自分はなんて孤独なんだ

 

そう思うことって、ほんとにつらいですよね。

 

 

わたしは、患者様のことを理解したいし、

なぜあなたが苦しんでいるのか知りたい、と思って

日々、施術しています。

 

そして一緒に気づいていきたい。

どうすれば、らくになれるのか。

答えがあることなのか、今はどうしようもないことなのか。

 

そして、寄り添いたい。

感情を同じくする味方がいるだけでも、人は強くなれることを知っているから。

 

 

優しい人、というのは

哀しみをきちんと知っている人のことなのかもしれませんね。