鍼灸師えみすけのブログ

住吉区のママ鍼灸師 えみすけのブログ

大阪市住吉区で鍼灸治療をしている、鍼灸師えみすけ(長崎絵美)のブログです。

腰痛が長引く本当の理由とは?恐怖回避思考とその対策について

 

先日の土日は、東京大学で開催された全日本鍼灸学会に参加しておりました。

 

そこで学んだことをさっそく記事にします。

テーマは「腰痛が長引きやすい人」について。

 

 

長引く腰痛で困っていらっしゃる方、なんとか腰痛の対処法を探している方には

是非読んでいただきたい内容です。

 

 

当院に来られる患者様の中でも

3回ぐらいでもうすっかり腰痛が良くなる患者様と

なかなかスッキリ腰痛がとりきれない患者様がいらっしゃいます。

 

 

これはなぜなのか?

 

 

実はその原因は、腰ではなく、にあったんです。

 

感情と痛みの関係  

 

この図は「Fear Avoidance Model(恐怖回避モデル)」と言われているものです。

 

 

英語なのでわかりにくいですが、要約するとこういうこと。

 

「人は、何か痛みを受けたときに恐怖を感じるかどうかで、その後の治りやすさが変わる」のです。

 

図で解説します。

「組織損傷」というのがスタート地点。なんらかの原因で、腰を痛めます。

 

そして、腰痛が治りやすい人というのは、この図の赤マルに沿って、右側の経過をたどる人のことなのです。

 

腰の痛みについて特に不安を感じなければ、

自身が痛みと対峙することにより、回復傾向に向かっていきます。

 

 

逆に、腰痛がなかなか治らない、慢性化しやすい人は、次の図の青マルに沿って、左側の経過をたどります。 

腰が痛いと感じたときに

「痛みのせいで何もできない。イライラするし、落ち込む・・」

「この先もずっと治らなかったらどうしよう。不安でしかない」

など、どうしても否定的な感情がうかんでしまったり

 

病院で「ヘルニアですね」「すべり症ですね」などと診断されたことで

「あぁ、だからこの腰痛は仕方ないんだ・・治らないんだ・・」

って余計に気持ちが沈んでしまったりすると

 

「破滅的思考」へとすすんでいってしまいます。

 

こうなると、もうあとは無限ループです。 

 

【腰痛の無限ループ例】

痛くなるのが怖いから、なるべく安静にしておこう

重い物持つのこわいなぁ・・腰痛が出るといけないし、

なるべくそーっと動こう。時間かかるなあ・・

なんか仕事がぜんぜんすすまないし、効率よく動けない

ずっと良くならなかったらどうしよう・・不安すぎる・・

あ、また痛い!

こんなに気を遣って生活しているのになんで??

やっぱりわたしの腰痛はずっと治らないんだ・・

もうずっとこのままなんだ・・

慢性腰痛に突入

 

 

 こんなかんじです。

 

 

つまり、腰痛をはやめに回復(リカバリー)させるには

「痛みを恐怖ととらえないこと」

「楽観的に考えること」が必要なんですね。

 

 

 

「いやいや。痛いのは恐怖にきまってるでしょー」

「腰が痛いときに楽観的に捉えられるか!」

 

と思われるかもしれません。

 

 

では、わたしたちがネガティブな気持ちになるとき

脳ではどのようなことが起こっているのでしょうか?

 

 

悲観的になってしまう原因とは?

わたしたちにはたくさんの感情があります。

この感情を司るのは、脳の「扁桃体」という部分です。

 

 

腰が痛い!うれしい!!

という人はあまりいないと思いますので、

腰が痛いということは、不快な感情に分類されます。

 

 

扁桃体が「不快だ」という情報をキャッチすると、

体からストレスに対抗するホルモンコルチゾールノルアドレナリンなど)

が分泌されます。

 

さらに、素早く「不快」という危機に対応するために、

幸せホルモンであるセロトニンの分泌を抑制します。

 

 

本来、扁桃体が興奮しても、

前頭連合野という部分がそれを落ち着かせてくれます。

客観的に自分の感情をコントロールしたり、

理性で感情を抑えようとしてくれるのです。

 

 

しかし、長期間の恐怖、不安、嫌悪、哀しみなどに

さらされている人は、この扁桃体常に興奮してしまいます。

そうなると、さすがの前頭連合野扁桃体を鎮めることができません。

 

体からは、ストレスホルモン出っぱなしで、

幸せホルモンがどんどん減っていきます・・

 

 

 

つまり、扁桃体が常に興奮し続けていることこそが、

悲観的になってしまう原理です。

 

 

楽観的にものごとを考えるには? 

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では反対に、楽観的に物事を考えるにはどうすればよいのでしょう。

それは、側坐核を刺激すること」です。

 

脳の側坐核という部分からは、ドーパミンというホルモンが分泌されます。

これは、簡単にいうと「やる気ホルモン」と言われていて

行動を起こすときに前向きな気持ちになるような作用があります。

 

 

たとえば、

 

学生さんがむちゃくちゃ勉強してテストでいい点をとりました。

そこで親に褒められたり、なにかご褒美を買ってもらったりすると、

うれしくってまた勉強頑張ろうと思います。

そういうときにもドーパミンは大量に出ています。

 

このドーパミンが正常に分泌されていると、

前向きな気持ちになることができるのです。

 

 

ではどうやって側坐核を刺激すればよいのか?

 

腰痛に関していえば、特に運動がおすすめです。

 

 

運動をすると、

脳内から「内因性オピオイドという物質が放出されます。

これは、「脳内麻薬」ともいわれる物質で、

「痛みを止めたり、快楽をもたらしてくれる」作用があります。

 

つまり、

運動をすると、身体の痛みが緩和されるということなんです。

 

 

腰が痛いんだから安静にしてたほうがいいんじゃないの?と思われるかも

しれませんが・・

 

内科的な疾患や、特に器質的に異常がない限り、

整形外科のお医者様でも 腰痛に運動をすすめています。

 

どの年代の方でもできる簡単な運動があります^^

 

 

悲観的な気持ちになったときほど、身体を動かす。

ゆううつな気分になっても、少し頑張って運動をしてみる。

そうすると、内因性オピオイドにより痛みは消え、

さらにドーパミンによって憂鬱な気持ちも消える。

 

ここをうまく自分でコントロールできるかどうかが、

痛みが慢性化するかどうかの分かれ目になるのですね。

 

 

 

あ、ちなみに・・

 

鍼をすると、脳内からこの内因性オピオイドが出る

ことがわかっていますよ^^

 

だからこそ、鍼灸は、痛みを止められたリ、気持ちを明るくすることができるんですね。

 

まとめ:鍼灸師が腰痛の方にできること

・痛みが慢性化しやすい人は、痛みを「恐怖」と捉えている

・必要以上に恐怖を感じると、破滅的思考から抜け出せず、痛みがさらに慢性化する

・痛みがあるときほど運動をすることで、痛みを鎮め、前向きな感情を引き起こすことができる。その結果、慢性化した痛みから解放されるチャンスが生まれる

 

以上が記事のおさらいです。

 

 

あと、わたしたち鍼灸師が腰痛の方にできることがあります。

それは、患者様を励ますことです。

 

無責任に「がんばれ」って言うのではなくて・・

「良くなってきている部分」に目を向けてもらうことなんです。

 これって、情動コントロールにとってすっごく大事です。

 

 

落ち込んでいる時は、人間誰だってマイナスの方に目がいきやすいんです。

「いつまでたっても、ちっとも良くならない」

「もう、ずっとこのままな気がする」

そう思う気持ち、とってもよくわかります。

 

 

だからこそわたしたちは、毎回の施術で問診をします。

 

 

 

そして

「最初はこうするだけで痛かったけど、今はこれはもう痛くないですもんね^^

やっぱり良くなってきてますよね」

 

とか

 

 

「前は一度痛みが出たら長引いていたけど、こないだは、あたためたらましになったんですか?すごいですね!回復が早くなっている証拠ですね^^」

 

 

などといったぐあいに・・

 

患者様が自分で気づいていない変化を指摘します。

そして、そこを褒めて褒めて褒めまくる!笑

 

「えー?ほんまによくなってきてるんかな?と半信半疑の患者様も

 

何回も言われると、ちゃんと

「そっか。わたしって良くなってきてるんだ」って自覚されます。

 

そうなったら、治療はさらに良いほうにすすみます。

患者様の前向きな気持ちがあるほうが、病は早く身体から去りやすいということですね。

 

自分ひとりだと気づきにくいことでも、第三者から見たらよくわかることもある。

お身体と心の状態をじっくり診させていただける鍼灸師だからこそ

できるケアもあるんです。

 

一人で気持ちを前向きにするのが苦手・・という方は

是非一度お越しくださいね^^